プロローグ

ep


「素敵な自分になりたい。」



25歳になった現在、そんなことを強く思うようになった。


電車に揺られながら、自身の人生を振り返る。


公立の小中高、その後大学へ行って、就職して。

頭が良いわけでもなく、運動ができるわけでもない。

特徴も特技も特にない。

いわゆる凡人というものなのだろう。


誤解されたくはないが、今すでに十分に幸せ者ではあるのだ。

特に家族には恵まれた。1番の自慢だ。


ただ、自分自身には何があるのだろうか。


自分にしかない個性・特長とは何だろうか。



…思い付かない。



そもそも自分は、「自分だけが特別」という思想とは縁遠い人物だ。

そういう考えは今までしないようにしてきた。

自分は特別ではない。

しかし、それでも別にいい。

そんな風に思って今まで生きてきた。


もう少し、自分を深掘りしたくなってきた。

今日はモグラの気分だ。


良い事も考えてみよう。


そういえば、人より好奇心が少し強いかもしれない。

色々な事が気になって、調べて分かるのが楽しい。


あと人よりちょっと数学が得意だ。

これは大学で数学を学んでいたから当然と言えば当然かもしれない。

だが、立派な特長のはずだ。


凡人には凡人の楽しみと自慢があるのだ。

これはこれで悪くない。

むしろ何も不自由はない。


ただ最近強く思う事がある。



「自分の好きな自分になりたい」



今の職場を辞めた時に、自分に何が残るのだろうか。

今、そしてこの先、自分には何ができるのだろうか。

今のままでいいのだろうか。


1つの結論に辿り着く。



「自分の好きな自分になろう。変化しよう。」



何かにチャレンジしてみたい。


自分だからできること、自分だからやれたことを作りたい。



この決心が良いのか悪いのかは分からない。

そもそも良し悪しなどないのかもしれない。

今現在だってとても心地良い。

十分に幸せだ。


でも、そうじゃない。

この道を進みたい。

新しい景色を見てみたい。


自分の中の何かがそう訴えかけてくるような気がする。


間違えたらまたこの穴に帰って来ればいい。

今は微かに見える光が太陽と信じて突き進もう。



素敵な自分になるために。

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