2020年度 日本大学入試問題を解いたので、振り返りと解法の確認をまとめておこうと思う。
解説という訳ではなく、あくまで自分用のまとめみたいなものだ。
各大問の詳細な解答・解説は別記事で行っているのでそちらを参考にしてもらいたい。リンク先は各大問の概評に貼ってある。
この記事はあくまで大問ごとの大きな基本方針を述べるに留める。その問いから学べることの言語化に注力している。
また、タイトルで「文系」と紹介したが厳密ではない。
細かい受験問題は学部・学科によって細分化されているため、受験生は本当に自身が受けるのが大問1〜4なのか、大問5〜10なのかは要確認してもらいたい。
では、まずは問題から見ていこう。
問題(文系は1〜4)
解くのを楽しみにしてる方は是非解いてみてほしい。
楽しめると思います。
では、解説していこう。
全体
先に問題形式などの確認をしておこう。
時間 | 60分(大問1〜4) |
入試科目 | 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B |
出題形式 | マーク |
問題数 | 大問4つ |
次に概評。
全体を通して教科書の問や節末問題レベルといったところだろうか。
チャート式で言えば難易度はコンパスマーク3つ以下といったレベルだろうか。
学校で問題集が配布されている人達は、おそらくそこに今回の問題の類題が記載されているだろう。
どの問題集でも類題がある基本的な問題で構成されている。
日大志望者は、分厚くない問題集を1冊しっかり行えば解けるようになるのではないだろうか。
さて、それでは各大問の解説をしていこう。
大問1概評
大問1は様々な単元が集まった問題だ。
単元も様々で、広く基本的なことができることが問われる。
一問一問基本的な解法になるため、しっかり知っておきたい。
解答・解説 → 「101話 2020 日本大学 過去問大問1【解答解説】」
(1)2次関数の最大・最小
定義域内の最小値についての問題。
二次関数の最大・最小問題は迷わず
- 平方完成して
- 頂点確認して
- 簡単なグラフをかく
という手順でいこう。
今回は軸が文字定数のため、軸が定義域の
- 左側
- 内側
- 右側
でそれぞれ場合分けを考えよう。
あとはそれぞれの場合の最小値を考えて、合わせてあげればよい。
(2)対数方程式
対数の足し算・引き算を行うにあたって、まずは底の統一をしよう。
底が統一できたら、あとは足し算・引き算を行いながら対数がなくなる形に変形していこう。
(3)数列の和
Σ計算が素直に出来ない形は工夫か具体化を考えよう。
今回は無理式の分数式であるため、有理化を考えよう。
有理化すると各項ごとに相殺する項が出てくるため、計算がかなり楽になる。
極限や数列の和では有理化が有効な場面も多いため、しっかり頭の片隅には置いておこう。
(4)直線の方程式
まず、求めたい座標を文字で置こう。
この際に変域があれば必ず確認しよう。
その後は
- 中点が対称軸上
- 対象軸と対称な線分が直交 → 傾きの積が−1
で解ける。
大問2概評
大問2も様々な単元からの出題だ。
単元も様々で、広く基本的なことができることが問われる。
一問一問基本的な解法になるため、しっかり知っておきたい。
解答・解説 → 「102話 2020 日本大学 過去問大問2【解答解説】」
(1)n進法から10進法への変換
今回は4進法から10進法への変換だ。
n進法は各位に注目すればよい。
今回40の位が1、4-1の位が3、4-2の位が2であるからそれを計算すればよい。
(2)平面の位置ベクトル
この場でだけベクトルの実数倍を「係数」と言い方をする。(イメージを掴みやすいため、正確には実数倍というのがよい)
同じベクトルの表記が2通りあれば係数比較すればよい。
ただし、基準とした2つのベクトルが一次独立である確認は必ずすること。
ACベクトルの係数が2で一致しているため、その他のベクトルの係数を比較すれば求めることができる。
(3)因数定理、対称式
考察対象が虚数解α、βのため、α、βを調べるためにまず3次方程式を解くことから始める。
3次以上の整関数の方程式(高次方程式)の解法は以下の通り。
- 因数定理・乗法公式(複2次式)を用いて因数分解
- 「ABC=0」ならば「A=0 または B=0 または C=0」の利用
α、βは虚数解よりx2-4x+5=0の2解。
ここからα、βを求めにいっても良い(別解)が、求める形が対称式であるから、α、βの基本対称式(α+β、αβ)さえ求めれば良い。
そういった考えから、解と係数の関係で基本対称式を得ればよい。
あとは、対称式を基本対称式を用いれる形に式変形していけば良い。
分数式の加法・減法は通分。
(4)三角関数・三角方程式
2次の三角方程式を解くためには
- 次数下げして合成
- t=sin+cosとおいて置換
というのが定石。
ただし、今回は「θの値を求めよ」のような問題ではなく、聞いているのはあくまでtanの値。
ゆえに、tanが現れるような式変形を考えると「cosの2乗で割る」という発想が出てくる
tanが現れたらあとはそれを求めれば良い。
また、三角比は一つ求めることができれば残りの二つは相互関係から導ける。
cosは三角比の相互関係を用いて求めよう。
大問3概評
大問3はテーマが1つとそれに付随する小問が3問。
樹形図を用いることで容易に解答は作成できる。
公式を使うことに囚われている人には難しく感じる問題かもしれない。
解答・解説 → 「103話 2020 日本大学 過去問大問3【解答解説】」
(1)確率
確率や場合の数のよくある発想として限定されたものから考えるということがある。
今回で言えば「Aは自分のものを受け取る」というのが唯一の限定だ。(B、C、Dは何を受け取ってもよいため状況が限定されていない)
ゆえに、Aをどう扱うかだけ先に考える。
Aは自分のものを受け取らなければいけないわけだから、Aが品物を受け取る場合の数は自分のもののみの1通り。
他3人は何を受け取っても良いため3人を並べる順列を考えれば良い。
(2)確率
限定されたものから考えるというのは(1)同様。
しかし、「Aだけが自分の品物を受け取る」という条件から「Aだけ限定されている」と考えるのは誤り。
B、C、Dも「自分自身の品物を受け取ってはいけない」という限定が起きていることに注意しよう。
では、どうしようと悩んでしまうわけだが、分からない時は状況を具体化して把握しよう。
具体化するために樹形図を用いると直ちに把握できて解くことができる。
(3)余事象の確率
「全員自分のものでない」という状況が「少なくとも1人以上自分の品物を受け取る」の余事象関係ということを考える。
「少なくとも1人以上自分の品物を受け取る」というのは(1)、(2)の流れから考えよう。
大問4概評
大問3はテーマが1つとそれに付随する小問が3問。
公式を使うことに囚われている人には難しく感じる問題かもしれない。
解答・解説 → 「104話 2020 日本大学 過去問大問4【解答解説】」
(1)積分
積分に必要なのは関数と区間である。
関数は既に分かっているため、区間を調べれば良い。
区間は交点を調べればよく、交点は連立方程式を解くことで求めることができる。
連立方程式解く→交点分かる→区間分かる→積分できる
ということであとは積分をして終了。
積分は位置関係が「(上の関数)ー(下の関数)」を積分することに注意しよう。
※位置関係が「(下の関数)ー(上の関数)」を計算すると値は同じで符号がマイナスになる
(2)積分
(1)同様、区間を調べて、位置関係が「(上の関数)ー(下の関数)」で積分。
計算ミスに注意しよう。
(3)3次関数の最大・最小
(1)、(2)からS+Tを求める。
あとは最大・最小問題へと頭を切り替える。
3次関数の最大・最小は微分して増減表で処理。
計算ミスだけないように注意しよう。
さいごに
全ての大問を通して、「基本問題の解法の理解は出来ていますか?」ということが問われている。
単元も特に偏りがなく出題されているため、志望者は基礎問題をしっかり解くことを意識して学習していく他ない。
ざっくり数学ⅠA・ⅡBの学習を終えたら過去問を解いてみても良いかもしれない。
学んだ基本的な操作を視点を少し変えながら見ていくため、楽しい。
解いた方、お疲れ様でした。
コメント