52話 教育とICT 〜GIGAスクール構想 概略〜

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昨今、教育現場にも新しい風が吹いている。

それがICTの導入だ。

ICTとは Information and Communication Technology(情報通信技術)のことで、文字通り情報伝達を重視した技術を指す。

教育現場ではICT環境を整えるために、GIGAスクール構想という政策が進められている。

今回はそんなGIGAスクール構想についてみていこう。

なお、客観的事実と私見が混同しては良くないため、私見は赤字で書くことにする。


GIGAスクール構想とは

GIGAスクール構想とは、1人1台の端末と高速大容量の通信ネットワークを整備し、多様な子供たち一人一人に公正かつ最適な教育が実現できる環境を作ることだ。

実際、国公立・私立問わず様々な学校で1人1台端末という動きはある。

文科省の意図としては、それを上手く活用することで、教員は生徒一人一人を見て双方向の一斉授業を行うことができ、生徒は他の生徒と考え方を共有したり意見交換が即時にすることができるようになることだ。

例えば、教員側は演習問題を与えた時に全員の画面が見れたりすることで誰の解答をピックアップするかを判断でき、多くの子が同じ間違いをしているようであればその場で修正することができる。

生徒側も自分の書いている答えをすぐに先生に評価してもらえることで疑問も解消されやすく、グループワークなどで生徒同士で画面共有をすれば意見交換が素早くできる。

また、こういったことは地方の少人数の学校でも大きな効果がある。

地方の少人数制の学校では学年の人数が2桁いくかどうか、もっと人が少ないところであれば異なる学年が一緒の授業を受けるような学校もある。

そういった中ではそもそもの人数が少ないため、意見の多様化というのも難しい。

そこで、少人数制の学校同士を繋ぐことで学校を超えての意見交換や学習を即時にすることができる。

また、教員も担当教科がいない学校も他校と繋いで授業を受けさせることができる。

こうして公正かつ最適な教育を実現していこうということだ。

教育が公正であることは大前提で、貧富や地域や性別などの違いで差があってはいけない。(教育基本法第一章第四条)

GIGAスクール構想はそんな公正な教育の実現のためにもなるのだ。


GIGAスクール構想はなぜ必要?

GIGAスクール構想が公正かつ最適のために実施されているのは前述の通りだ。

もちろんそうした流れでの必要性もあるのだが、そもそものGIGAスクール構想の流れは society5.0 にある。

教育に興味がない人もこの言葉は聞いたことがあるかもしれない。

society5.0とは、内閣府が提唱しているもので、サイバー空間(仮想空間)とフィジカル空間(現実空間)を高度に融合させたシステムにより、経済発展と社会的課題の解決を両立する、人間中心の社会(Society)のことだ。(太字部分原文ママ)

狩猟社会(1.0)から農耕社会(2.0)になったことことで人々の働き方や暮らしは大きく変わった。

農耕社会(2.0)から工業社会(3.0)になると、また人々の働き方や暮らしは大きく変わった。

そして工業社会(3.0)から情報社会(4.0)へ。

今やさらに新しい社会(5.0)へと動き始めている。

ゆえにsociety5.0なのだ。

つまり、今後また人々の働き方や暮らしが大きく変わることが予想される。

そういったことに備えるために、現在様々な政策が進められている。


その中で、教育も変わっていかなければいけないというのがGIGAスクール構想への流れだ。

今の子供達がこれから日本を支え、世界へ飛び立っていく時に十分な力を持てるように教育も変わっていかなければならない。

そういった必然の元での政策なのだ。


GIGAスクール構想のゴールってどこ?

GIGAスクール構想の真のゴールは子供達の学びにある。

ゆえに数値的な目標が難しい。

しかし、環境設備の水準の目標はある。以下の通りだ。

  • 学習者用コンピュータ 3クラスに1クラス程度整備
  • 指導者用コンピュータ 授業を担任する教師1人1台
  • 大型提示装置・実物投影機 100%完備
  • 超高速インターネット及び無線LAN 100%整備
  • 統合型校務支援システム 100%整備
  • ICT支援員 4校に1人配置
  • 上記のほか、学習用ツール、予備用学習者用コンピュータ、充電保管庫、学習用サーバ、校務用サーバ、校務用コンピュータやセキュリティに関するソフトウェアについても整備

そして、実はこの動きは文科省が2018〜2022年度の5か年で達成することを目標としている。

これが実現したら、教員の方は相当助かるだろうが同時にICTの扱い方にも精通しなければいけない。

これはご高齢の教員には酷な話ではあろうが、それでもやらなければいけない。

非現実的な話ではあるが、全教職員が正しく機材を扱い、良質な教育が実現できてようやくゴールとなる。


さいごに

今回はGIGAスクール構想の概略を話した。

実際にどのような教育が推奨されていて、日本は世界と比べてどのような立ち位置にいるかはまた後日記事にしたいところだ。

こういった社会の流れの中で、教育の在り方が変わっているのは保護者も認識しなければいけないと個人的には思っている。

これは自分自身にも言い聞かせていることではあるが、今や自分が通っていた頃の学校ではないのだ。

変わりゆく時代の中で、何が有効で何が不要なのか、その流れに自分はどう適応していくのか。

しっかり考えながら生きていけるようになりたい。

また色々情報収集して思考していこう。


参考元

文部科学省「GIGAスクール構想の実現へ

文部科学省「「GIGAスクール構想の実現」とは  ~学校情報化の目的と概略~

文部科学省ページ「GIGAスクール構想について

内閣府「society5.0

文部科学省「教育基本法

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