2020年度 学習院大学入試問題を解いたので、振り返りと解法の確認をまとめておこうと思う。
解説という訳ではなく、あくまで自分用のまとめみたいなものだ。
各大問の詳細な解答・解説は別記事で行っているのでそちらを参考にしてもらいたい。
リンクは各大問の概評に貼ってある。
この記事はあくまで大問ごとの大きな基本方針を述べるに留める。その問いから学べることの言語化に注力している。
では、まずは問題から見ていこう。
問題
解くのを楽しみにしてる方は是非解いてみてほしい。
楽しめると思います。
では、解説していこう。
全体
先に問題形式などの確認をしておこう。
時間 | 60分 |
入試科目 | 数学Ⅰ・Ⅱ・A・B |
出題形式 | 筆記(解答のみ記入あり) |
問題数 | 大問4つ |
次に概評。
全体の難易度としては日東駒専より僅かに難しいというレベルで、問題集を1冊終えた人は全く見たことがないような問題はない。
様々な単元の基本的な知識を少し複合しながら解いていくような問題だ。
多くの単元をまたぐような問題はないが、基本から応用の絶妙な架け橋となるような問題が多い。
早慶上理志望の人は全問正解できるような問題とも言える。
分からなかった問題はしっかり復習することで、確実に力がつくような問題だ。
さて、それでは各大問の解説をしていこう。
大問1概評
大問1は対数方程式についての問題。
真数条件に注意する以外は標準的な問題であるためここは解けておきたいところだ。
解答・解説 → 「119話 2020 学習院大学 過去問大問1【解答解説】」
対数方程式
対数方程式の基本解法は
- 真数条件の確認
- 底の範囲の確認
- 底の統一
- 対数の和は中身の積、対数の差は中身の商
だ。
今回も例に漏れず、まずは真数条件の確認。
その後、底の統一にしよう。
底は素数、常用対数の底10、自然対数の底eに揃えておくと有効なことが多い。
今回は素数の2で統一しよう。
あとは対数を外して真数で表していけば良い。
大問2概評
大問2は領域と多変数関数の最大・最小についての問題。
今回の問題は領域に関する分野の中でも典型問題だ。
(2)は逆象法というもので、=kとおいてkの存在範囲に着目するという手法だ。
最大・最小問題では有名な解法なのでしっかり抑えておこう。
解答・解説 → 「120話 2020 学習院大学 過去問大問2【解答解説】」
(1)2つの関数の交点・連立方程式
2関数の交点は連立方程式で求めることができる。
2次と1次の連立方程式では代入法が有効。
x=2-2yとして第2式へ代入して求めよう。
(2)多変数関数の最大・最小
多変数関数の最大・最小問題は以下の解法を考えよう。
今回は等式条件がなく、1次関数のため逆像法が有効。
逆像法とは、「=k」とおいてkの存在範囲を考える解法のことだ。
ここで重要なのがkの存在範囲で、しっかり同値変形によって求めることに注意しよう。
今回kの存在範囲は直線のy切片のため、直線が領域を通過するときのy切片に注目することで求めることができる。
y切片が最も大きくなる時が「円に接するとき」、y切片が最も小さくなる時が「定点を通過するとき」ということを図から理解しよう。
状況把握ができたら、あとはそのときのkの値を求めるだけだ。
大問3概評
大問3は条件付き確率に関する問題。
今回の確率は一見すると問題集では見たことなさそうだが、その中身は標準的で、合格者の多くは解けている問題だろう。
こういった「〇〇をした後に△△をする」という「時の流れがある問題」では樹形図が有効だ。
条件付き確率も全体事象と求める事象が見えればそんなに難しくないため、そこを意識して解けるようにしていきたい。
解答・解説 → 「121話 2020 学習院大学 過去問大問3【解答解説】」
(1)条件付き確率
場合の数、確率において「〇〇をした後に△△をする」という「時の流れがある問題」では樹形図が有効だ。
条件付き確率は全体事象を縮小するため、ベン図や樹形図で確認をするとミスが減る。
樹形図で状況把握したら、あとは計算するのみだ。
(2)条件付き確率
(1)同様。
計算ミスに注意しよう。
大問4概評
大問4は関数の関係と積分についての問題。
- 「接している」で判別式の反応ができるか
- 「共有点をもつ」で共通解や連立方程式という発想に至るか
- 文字係数の場合分けはできているか
- 積分計算が正しく行えているか
ということを問われているこの問題。
問題としては標準的で、合格者の得点率は高そうだ。
解答・解説 → 「122話 2020 学習院大学 過去問大問4【解答解説】」
(1)関数が接する条件、判別式
2つの関数が交点を持つときは
- 連立方程式
- 共通解をもつ
ことを考えよう。
交点を持つ中でも「接する」条件は特殊だ。
連立後、
- 2次関数なら判別式D=0
- 3次以上では因数分解(かならず平方な因数をもつ)
- その他関数では共通接線
を考えよう。
今回は2次関数のため、判別式D=0で解く。
接する関数が2つあるため、2つともで判別式D=0を用いる。
すると、式が2つ、文字が3つで文字を1つまでに減らすことができる。
今回はaを残すよう言われているためb,cを消去すればよい。
(2)2つの関数の共通解
2つの関数の交点のx座標がαとは、すなわち、2つ関数を連立した方程式の共通解がαということだ。
共通解問題は代入で処理しよう。
(3)積分
文字係数に慣れていない人はa>0として計算してしまう人が多いだろう。
整関数において、最高次数の係数が文字である時はほぼ確実に場合分けが発生すると思ってよい。
場合分けしてそれぞれ求める面積を積分しよう。
aの正負によって関数の位置関係が異なる。
2つの関数に囲まれた部分を求めるために積分をする際、必ず位置関係が「(上の関数)−(下の関数)」として積分するように注意しよう。
また、今回は用いなかったが、今回の形の積分はは「12分の公式」という公式で知られる有名な形だ。
知っていれば解法に用いることも出来るため知らなかった人は是非調べてみて欲しい。
積分さえ出来れば条件よりaの値を求めて終了だ。
さいごに
学習院大学は日東駒専とGMARCHを繋ぐにはいいレベルの問題のように思う。
立教や明治、理科大の理工系志望の人は高得点を取れなければいけない難易度と言える。
自分は学習院大学の問題の作り方が好きで、非常に解きやすく基礎知識の復習に最適なように思っている。
偏差値45〜55程度の地方国公立志望者などはいい練習になるのではないだろうか。
解いた方、お疲れ様でした。
これからも楽しんでいきましょう。
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