176話 2021 一橋大学 過去問振り返り

ep-math

2021年度一橋大学の過去問を解いたので解答・解説をしていく。

今回は前期日程の問題を解いた。

解説という訳ではなく、あくまで自分用のまとめみたいなものだ。

各大問の詳細な解答・解説は別記事で行っているのでそちらを参考にしてもらいたい。

リンクは各大問の概評に貼ってある。

この記事はあくまで大問ごとの大きな基本方針を述べるに留める。

その問いを初見で見た時にどう考えると解法が見えるかの言語化に注力している。

では、まずは問題から見ていこう。

問題

試験時間(目安):120分

以下のURLは大学の公式HPから入試問題へのリンク。

問題はそちらから確認して欲しい。

URLからのリンクが怖い方は『神戸大学 過去問』で検索してみて欲しい。

2021年度 一橋大学 前期日程 数学

https://juken.hit-u.ac.jp/admission/info/files/R3_suugaku_zenki_mondai.pdf ]

※上記URL:国立大学法人一橋大学HPホーム > 学部入試情報 >入学試験の「問題」及び「出題の意図等」 > 令和3年度入試 > 数学(前期日程) > 試験問題

※過去3年分が公式HP(下記URL)から閲覧できます。(2021年9月5日時点)

※掲載終了している可能性もあります。

参考URL『国立大学法人一橋大学HPホーム>学部入試情報>入学試験の「問題」及び「出題の意図等」』
https://juken.hit-u.ac.jp/admission/info/ito.html

解くのを楽しみにしてる方は是非解いてみてほしい。




楽しめると思います。



では、振り返っていこう。

全体

先に問題形式などの確認をしておこう。

時間120分
入試科目数学Ⅰ・Ⅱ・A・B
出題形式筆記
問題数大問5つ

次に概評。

一橋大学は偏差値67.5〜72.5の国立大学(2021年9月5日時点 パスナビ調べ)。

全体の難易度は「文系最難関」の呼び声も高く、私立で言えば早慶上理レベル。

一橋大学の問題が有名である理由としては、「問題文が短い」ことや「解法に柔軟な発想が必要」であることが多いためだと個人的には思っている。(全ての問題に当てはまるわけではありません

理系の人でも難しく感じる人は多いのではないだろうか。

大問は5問で120分、良く悪くも小問は少なく、時間は十分にあると言える。

難易度も例年通り、もしくは例年より易しめであったように思う。

今年は3つ以上の単元の複合問題が多かった印象も受けるが、解法として複雑なものは少なかった。

全体的には

  • 一瞬「ん?」となるが方針が決まれば計算が簡単なもの
  • 方針は比較的決まりやすく、計算や条件の見落としに注意が必要なもの

の2種類に分類できるような感じがした。

さて、それではここからは各大問ごとの振り返りをしていこう。

大問1概評

大問1は集合の要素の個数についての問題だ。

難易度は早慶上理レベルの問題。

一橋大学レベルでは標準的な難易度だろう。

計算自体は複雑なものがないため、解答に費やす時間は短めに抑えたい。

5分程度で方針を決めながら少しずつ手を動かし、方針を固めていきたい。

それでは解答を見ていこう。

解答・解説 → 「170話 2021 一橋大学 過去問大問1【解答解説】

(大問1)集合の要素の個数

解説

「素数」の性質で1番パッと思いつく「1とその数でしか割り切れない」という性質をこういった形で扱う問題はあまり多くないようにも思う。

今回「素数の整数問題」と捉えるか、「集合の要素の個数問題」と捉えるかで大きく方針を悩んでしまいそうだ。

「素数」とは書いてあるが、あくまで個数を調べている「集合の要素の個数問題」として捉えるようにしよう。

方針決めまでの思考の流れは次の通り。

  1. 1000以下の素数を直接示すのが難しい。
  2. なぜなら、仮に200個程度でありそうと言えても「数え漏れあるんじゃない?」と言われると否定することはできず、結局全部数え上げるしかないからだ。
  3. 直接示すのが難しい時は対偶命題や間接証明を用いることを考える。
  4. 今回は「1と合成数(素数以外)の1000以下の自然数が750個以上ある」ことを示せばいい。(合成数が750個以上あることが確定すれば素数は250個以下と言える)
  5. そこで「2,3,5,7,…の倍数の個数の累計」に注目すればいいのだが、個数定理を4つ以上の集合で扱うのはできなくないが式が煩雑になり過ぎる
  6. そこで、2,3,5の倍数のみ調べてみる

まずはここまでの方針が決まって計算をしていくことになる。

しかし、いざ計算を終えるとまだ少し750個に届いていないことに気付く。

そこからはもう数え上げてしまおう。

数え上げは最終手段でもあるが、確実に答えられる方法でもある。

整数の分野でもよくあるが、「候補を絞ったら残りは実験」という手法も知っておこう。

大問2概評

大問2はガウス記号を含む数列についての問題だ。

難易度は早慶上理レベルの問題。

一橋大学レベルでは標準的よりやや優しい難易度だろう。

計算自体も複雑ではなく、ガウス記号を含む数列の問題では標準的な問題と言える。

ガウス記号を含む数列を見たことがない人は面食らう問題な気もするが、結局分からない数列は具体化して推測という鉄板方法で考えれば解けなくはないように思える。

結局規則性がどんなかさえ把握してしまえば一般項の形はさして重要ではないため、何より規則性は何か掴むことに注力するようにしよう。

それでは解答を見ていこう。

解答・解説 → 「171話 2021 一橋大学 過去問大問2【解答解説】

(大問2)ガウス記号を含む数列

解説

ガウス記号と言ったら不等式処理([x]=k⇔k≦x<k+1)を考えるのがよくある処理だ。

出題の形式に当然よるが、ガウス記号は平方数に至るまで一定値を取り続けるため、数列では群数列になっていくことが非常に多い。

それを知っている人は今回も群数列を解く心構えで問題を見るわけだが、別に知らなくても問題はない。

よくある数列問題はその通りの処理をすればいいし、初めて見る数列問題は具体化して推測すれば良い。

今回も具体化すれば群数列が見え、あとはその群数列がどのように振舞っているかを考えていけばいい。

群数列であることを見抜けたら群数列の和の基本処理である「群ごとの和を求め、全ての群の分足す」という方針でいいだろう。

群数列の和を求めるとさらに数列が出てくる。

マトリョーシカみたいだ。

今度出てきた数列は「等差×等比型の数列」であるためその処理は「公比をかけて引く」となる。

こうして解答を得る。

大問3概評

大問3は2次方程式、三角形の成立条件、関数の領域についての問題だ。

難易度はGMARCH以上早慶上理以下レベルの問題。

そんなに複雑な解法までの手順はなく、解答自体はすぐに作成できそうだ。

今回の解答では③として解いたが、実は条件の同値性を利用すれば③は調べなくても求められる。

しかし、そうしなくても解けるため、今回は一つ一つ条件を調べていく方針をとった。

確実と言えるが、綺麗な解答とは言えないし、ただただ無駄であると言えばその通りだ。

もっとスッキリした解答が気になる人はパスナビの模範解答を見ることをオススメしたい。

それでは解答を見ていこう。

解答・解説 → 「172話 2021 一橋大学 過去問大問3【解答解説】

(1)2次方程式、三角形の成立条件、関数の領域

解説

解と係数の関係の利用は直ちに分かるだろう。

解の個数から判別式に注意しよう。

また、三角形の成立条件も分かりやすく見える形だ。

そして使う条件はこれらのみ。

あとは解の条件か範囲を絞りつつ、α,βの式ををa,bの式に変換していけばいい。

計算ミスにだけ注意してここは点数が取りたいところ。

(2)多変数関数の最大・最小

解説

多変数関数の最大・最小の解法は以下の通り。

今回は等式条件なし、予選決勝法困難なため「逆像法」での解法が有効だ。

ちなみに、等式条件というのは今回で言えば「α=2」や「α+β=3」のようなものがあれば①の解法だった。

逆像法は「=k」とおいてkの存在範囲を求めるというものだ。

(1)を利用するためにb=(aとkの式)の形にするのが良いだろう。

そのモチベーションで式変形ができればあとは(1)の図を利用しながら考えていくのが良いだろう。

大問4概評

大問4は円と直線、定積分についての問題だ。

難易度はGMARCH以上早慶上理以下レベルの問題。

(1)は合格者のほとんどが正答であろう。

(2)についても図は比較的すぐに描くことができるため、求める面積は見えやすい。

あとは面積と重解を上手く利用する、もしくは典型処理で接線の方程式を求めてゴリゴリの計算から導いていくという方法でも求められる。

どちらにせよ複雑な解法の発想は必要なく、正答率が高いように思えるため、一橋大学志望の受験生は解いておきたい問題だ。

この大問も他の大問同様、複数の単元が混在するため方針が見えにくくなることがあるが、今自分はどんな問題に対峙していて、その時の基本処理はどんなだったかということをしっかり考えて紐解いていけば分かってくる。

それでは解答を見ていこう。

解答・解説 → 「173話 2021 一橋大学 過去問大問4【解答解説】

(1)共有点の個数(方程式の逆算問題)

解説

自分は

  • 方程式から解を導く
  • 関数から交点を求める

といった問題、つまり、「方程式→解」の流れの問題を方程式を解く問題、逆に

  • 方程式の解が与えられた状況で元の関数を決定する
  • 交点の値や個数、範囲から元の関数を決定する

といった問題、つまり、「解→方程式」の流れの問題を方程式の逆算問題と読んでいる。

方程式の逆算問題は

  • 式処理
  • グラフ処理

の2通りの方針があり、それぞれ以下の通りだ。

今回の実際の解法の流れは

交点→連立式→解が1つ確定→残り2つもつ→2次関数より判別式

流れを把握して方針が決まればあとは計算をやるだけだ。

(2)関数の最大・最小、定積分

解説

求めたい面積を図示することは容易だが、交点をそのまま計算していくのはかなり煩雑だ。

そのため、解答では交点をpとおいて計算が多少楽になるように工夫した。

別にpとおかなくても解けるため、本問題の本質はそこではないが、重解の工夫の一つとして知っておいて損はないだろう。

あとは面積を求めるために定積分。

そして求めた面積の最大・最小ということで面積を関数として微分→増減表→グラフという流れ。

重解、定積分、関数の最大・最小と複合問題となっていることが、やっていること自体はかなり基本的な処理だ。

今自分が何を求めていて、次は何をすればいいのかというのを切り替えながら問題に臨もう。

大問5概評

大問5は定積分と整数と確率についての問題だ。

難易度はGMARCHレベルの問題。

本問題は複雑な解法の方針決めはなく、与えられた条件からやれることをやったら答えが導けるような問題だ。

大問全体で見ても易しめ。

合格者の正答率は高いのではないだろうか。

方針はそこまでないといってもいいのだが、しっかり確認はしておこう。

それでは解答を見ていこう。

解答・解説 → 「175話 2021 一橋大学 過去問大問5【解答解説】

(大問5)定積分、整数、確率

解説

定積分で条件が与えられる確率問題を個人的にはそこまで多く見たことがないため、そこでは意表を突かれた人もいるかもしれない。

とは言っても、よく分からないのでまず定積分を計算してみて条件を書き換えていく発想にはおそらく多くの人がなるだろう。

計算してみると、整数問題へと切り替わることが分かる。

今回は因数分解された整数問題のため、後はその組を具体的に考えていけばよい。

具体的な場合の数が求められたら、最後に確率を考えて結論を得る。

いくつか単元を合わせたような問題ではあるが、複雑に絡み合っている訳でもなく頭の切り替えもしやすいだろう。

様々な単元の基礎理解さえしておけば各単元そんなに難問でもないためミスがないように気を付けよう。

さいごに

一橋大学は毎年大問のうちどれかが受験界隈で有名な問題としてピックアップされることが多い。

自分も大問1は有名であったため解説記事を書く前から知っていた。

今回改めて大問の全体を見られたことを嬉しく思う。

昨年度以前の問題も解きたい欲に駆られる良い問題だった。

解いた方、お疲れ様でした。

これからも楽しみながら学んでいきましょう。

その他過去問を解く人はこちらから → 『特集 過去問振り返り まとめ

本ブログの解答解説は大学が公式に発表しているものではなく、あくまでブログ著者が独自に執筆した解答であることをご了承ください。
尚、解答解説の作成・公表にあたり十分に注意をしておりますが、万が一解答に誤りがあった場合にも責任は負いかねます。
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何卒よろしくお願い致します。

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