94話 2020 金沢大学 過去問振り返り

ep-math

2020年度 金沢大学入試問題を解いたので、振り返りと解法の確認をまとめておこうと思う。

解説という訳ではなく、あくまで自分用のまとめみたいなものだ。

各大問の詳細な解答・解説は別記事で行っているのでそちらを参考にしてもらいたい。リンク先は各大問の概評に貼ってある。

この記事はあくまで大問ごとの大きな基本方針を述べるに留める。その問いから学べることの言語化に注力している。

では、まずは問題から見ていこう。

問題

試験時間(目安):120分

2020年度 金沢大学 前期日程 数学(理系)

[ https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp-content/uploads/2020/04/02-2-2sugaku_rikei_zenki.pdf ]

※上記URL:国立大学法人金沢大学HP 「過去問題及び正解・解答例」ページより 令和2年度入試 前期日程 理系数学

※過去3年分が公式HP(下記URL)から閲覧できます。2020年度分が掲載終了している可能性もあります。

参考URL『国立大学法人金沢大学HP-過去問題-』
https://www.kanazawa-u.ac.jp/education/admission/kakomondai

解くのを楽しみにしてる方は是非解いてみてほしい。

楽しめると思います。




では、解説していこう。

全体

先に問題形式などの確認をしておこう。

時間120分
入試科目数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B
出題形式筆記
問題数大問4つ

次に概評。

全体の難易度としては私立で例えるならGMARCHレベルというところだろうか。

奇抜な変形や全く見たことのない問題というのではなく、一つ一つの単元を教科書や簡単な問題集をしっかり理解していれば方針は決まりそうだ。

また、全ての問題を通して図形の知識が問われている。

この年の問題を解くことで色々な図形問題、そして他単元との融合に触れることができる。

その中でも、個人的には大問4の完答は難しく感じる。

一方で、逆関数をここでしっかり学習し直せるのはチャンスだ。

しっかりなぜそういった式変形をするのかや、足りていない知識は何かというところを考えて解くようにしよう。

さて、それでは各大問の簡単なまとめをしていこう。

大問1概評

大問1は確率問題。

図形の決まり方は大問で共通、あとは小問ごとの条件を考える形式だ。

サイコロの目により三角形の座標が決まり、その図形が条件を満たす確率を考える。

図示は非常にしやすく、図形問題としては簡単と言える。

あとは直角三角形や二等辺三角形のという有名な定義から考えることができる。

確率の計算自体もシンプル。

全ての大問の中で最も簡単であると言える。

この年の合格者にとっては、おそらく完答が前提の問題なのではないだろうか。(計算ミスなどはあるかもしれない)

解答・解説 → 「89話 2020 金沢大学 過去問大問1【解答解説】

(1)三角形の面積、整数

まずは図示。

次に、条件の「面積の値が整数」となるような状況を考える。

すると、b+cが偶数であればいいという条件を得ることができる。

整数において、2数の和が偶数となるのは、「ともに偶数」か「ともに奇数」しかないため、「bとcの偶奇が一致すればよい」ということが分かり、あとはその確率を求めれば良い。

(2)直角三角形の性質、確率

続いては直角三角形の条件を考える。

直角三角形であるというのは三平方の定理が成り立つことによって示すことができる。

あとは、どこが斜辺かを考えるためにどこが直角かをそれぞれ設定しながら考えていけばよい。

立式後はa,b,cが6以下の自然数であることから因数分解を考えていくことになる。(整数問題へ変換)

因数分解後、それを満たすようなa,b,cは存在するのか、存在するのであればどんな条件なのかを考えていく。

あとは成り立つ条件のa,b,cについて確率を考えていけばよい。

(3)二等辺三角形の性質、確率

二等辺三角形であることは「2つの辺が等しい」か「2つの底角が等しい」ことから示せる。

今回は3頂点の座標が分かっているため、辺の長さが「2点間の距離」から求められる。

よって、「2つの辺が等しい」ことから示していくのがいいだろう。

あとは3辺から等しい2つの辺を選び、それぞれそうなる条件を立式してそれらを満たすa,b,cが存在するかを確認していけばよい。

立式後、a,b,cについての式を得ることができたら先程同様因数分解で考ればよい(直ちに分かる場合は因数分解すら不要)

二等辺三角形が成り立つようなa,b,cの存在が言えた場合にはそれがどういう状況なのかを把握し、確率を求めていけばよい。

状況把握さえできていれば、基本的な確率の知識で解ける。

大問2概評

大問2は複素数平面についての問題。

難しい式変形や工夫はなく、基本に忠実に立式して条件を整理していけば解けるような問題だ。

特に、(1)、(2)は文字定数kの具体的な数値として与えられているため、問題自体は教科書や基礎的な問題集でも目にする形だ。

(3)は文字定数ではあるが、流れは(1)、(2)と同様だ。

解答・解説 → 「90話 2020 金沢大学 過去問大問2【解答解説】

(1)複素数と図形、複素数の偏角

条件を整理すると、題意を示すためにはγの偏角を示せばよいことが分かる。

そのためにγを極形式で表せばよい。

(2)複素数と図形、円

w=(zの式)が与えられたら、w=(zの式)で表してwの条件に代入。

絶対値の2乗の形は平方完成して円の形へ。

(3)複素数と図形、円

w=(zの式)が与えられたら、w=(zの式)で表してwの条件に代入。

絶対値の2乗の形は平方完成して円の形へ。

今回はwの描く図形がFのため、Fは点(k+1)/2、半径(k-1)2/4の円ということになり、条件よりこれが半径1/2の円と一致する。

ゆえに半径を比較して結論を得る。

大問3概評

大問3は円すいの体積の最大・最小問題。

難易度的にはこの年では大問4の次に難しいのではないだろうか。

状況の整理や変数の設定が悩みどころだ。

体積の最大・最小というところから体積を関数で表して、関数の最大・最小の話にもっていけばいい。

解答・解説 → 「92話 2020 金沢大学 過去問大問3【解答解説】

大問3(微分法と図形、関数の最大・最小)

今回の大問を見て難しく感じるポイントは何をしたらよいのか掴みづらいところにある。

今回最初に注目すべきは回転する前の△OABだ。

直角に着目して、相似を考える。

どこを文字で置いてもいいが、最終的に重要なのは円すいの底面積の半径AIだ。

どこかを文字で置いて、三平方の定理や相似を扱いながらAIを相似比から考えていけばよい。

変数で表すことができれば、円すいの体積をその変数を用いて表すことができる。

こうして体積の最大・最小問題を、関数の最大・最小問題の変換に成功する。

ここからはグッと楽になってよくある形の最大・最小問題だ。

微分して増減表という流れだ。

最後に、Pの存在範囲の図示だが、まず前提として△STUの内部であることだ。

次に、最大と最小の場合を考えるとOPの距離が一定の時であるからPは円周上となる。

あとは半径が分かればよくて、それは増減表を見て考えればよい。

大問4概評

個人的には2020年はこの大問の完答が最難関なように感じる。

そう思う理由は受験生の多くが苦手であろう逆関数の(3),(4)だ。

この逆関数で正答できるとかなり他の受験生に差がつけられるのではないだろうか。

全てが解けなかった方、ぜひ一緒に解き直しをしていこう。

解答・解説 → 「93話 2020 金沢大学 過去問大問4【解答解説】

(1)関数の単調性

まず、問題文のsinとcosの同角一次式(角度が同じで1次の三角関数)から合成を考える。

合成をするとsinの関数で考えることでき、あとはこの関数の単調増加を示せばよい。

(2)関数の大小関係

関数の大小関係は定数分離(0を分離)して考えるのが定石。

あとは定数と関数の大小関係、すなわち関数の最大・最小問題と変換することができる。

g(x)を設定し、定義域内でg(x)>0が言えればよい。

そのためには定義域内でg(x)の最小値が0より大きければいいため、g(x)の最小値を調べにいく。

今回は一度の微分で調べられる。

条件の使い方だが、①「平方根が見えて」かつ②「正の数」の大小のため2乗する発想に至った。

(3)逆関数の積分

(1)より、元の関数f(x)が単調増加のため、逆関数f-1(x)も単調増加であることが言える。

あとはなるべく元の関数の形で微分をしたいため、どうにかして分かる形に変形することを考える。

この辺りは逆関数を丁寧に見ていき&求めたい積分の形を意識することで、元の関数を交えた形に変形していく。(変形できていく)

逆関数がないように変換できたら、あとはただ積分するだけだ。

(4)積分と面積

まず図示をしてどこを示すのかを明らかにしよう。

よく分からない形の面積は求める部分のみ求めて、足したり引いたりすることで求めたいところを求めることを考えよう。

今回も値の計算が少しだけ面倒ではあるが、全体から余分な部分を引いて求めにいく。

図を丁寧めに描いたつもりなのでイメージを掴むために参考にしていただきたい。

さいごに

公式の模範解答はこちら

https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp-content/uploads/2020/04/02-2-02sugaku_rikei_zenki.pdf

参考URL:国立大学法人金沢大学HP 『過去問題及び正解・解答例』より令和2年度 前期日程 数学(理系) 正解・解答例

金沢大学は偏差値50.0〜65.0の国立大学(2021年6月17日時点 パスナビ調べ)。

自分としてはやはり中々な難易度ではあったように思う。

薄い問題集でも理解しながら解いていれば、全く手をつけられないといった問題ではないように思う。

その一方で、パッと見ではどう解くのか分かりづらい問題であるのは事実だ。

何を問われているのか、それを解くためには何の知識が必要で、それをどう引き出せばよいのか。

そこまで考えるととても有意義な過去問演習になるのではないだろうか。

解いた方、お疲れ様でした。

コメント

タイトルとURLをコピーしました