83話 2020 富山大学 過去問振り返り

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2020年度 富山大学入試問題を解いたので、振り返りと解法の確認をまとめておこうと思う。

解説という訳ではなく、あくまで自分用のまとめみたいなものだ。

各大問の詳細な解答・解説は別記事で行っているのでそちらを参考にしてもらいたい。リンク先は各大問の概評に貼ってある。

この記事はあくまで大問ごとの大きな基本方針を述べるに留める。

では、まずは問題から見ていこう。

問題

目安時間:120分

2020年度 富山大学 前期日程 理学部 数学

https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/02zenki-05.pdf ]

※上記URL:国立大学法人富山大学HP 過去問ページより 2020年度 前期日程 理学部数学

※過去3年分が公式HP(下記URL)から閲覧できます。掲載終了している可能性もあります。

参考URL『国立大学法人富山大学HP-過去問題-』
https://www.u-toyama.ac.jp/admission/undergraduate-exam/past_exams/

解くのを楽しみにしてる方は是非解いてみてほしい。

楽しめると思います。



では、解説していこう。

全体

先に問題形式などの確認をしておこう。

時間120分
入試科目数学Ⅰ・Ⅱ・Ⅲ・A・B
出題形式筆記
問題数大問3つ

次に概評。

時間としては120分で大問が3つのため、非常に時間的なゆとりはある試験と言える。

ゆえに、別解の手数を多く持っている人は色々なアプローチで検算することができ、有利と言えそうだ。

全体の難易度としては教科書レベルの各単元の複合問題のように構成されていて、教科書レベルとはいえしっかりした単元の理解が問われている。

問題集で演習を積んでいれば(あの問題と似ているな)という問題はあるのではないだろうか。

実際の試験を意識すると「大問1(2)まで,大問2,大問3(2)まで」というのが受験生が解きたい問題になってくるだろうか。

時間に余裕はあるはずなので、どの問題に注力するかはゆっくり吟味していいだろう。

あとは具体化をしたり見覚えがある問題の解法を試してみると突破口が見えてくるかもしれない。

大問1概評

1つのテーマと小問4つで構成されている。

(3)で苦戦する受験生が多いのではないだろうか。

(4)は簡単なため、(3)ができるかどうかが高得点への別れ道だ。

大問一つで色々な単元の理解について聞いてくるため、自分は今どの単元を解いていて、その際の解法はどういったものだったかをしっかり考えられるようにしたい。

お節介かもしれないが、自分は心の中で単元名とその解法を唱えてから手を動かすようにしている。

今回もそういった工夫で頭の中を整理しながら解くことができたため、もし今自分が何をやったらいいのか分からなくなってしまうという人がいたら試してみてもらいたい。

自分はどこの単元が理解不足で解くことができなかったのかというのを自分自身で言語化できるようにして、やるべきところを復習していこう。

解答・解説 → 「80話 2020 富山大学 過去問大問1【解答解説】

(1)直線の方程式

通る2点が与えられた直線の方程式を求める問題は

  • 直線の方程式でのアプローチ
  • ベクトル方程式でのアプローチ

を考える。

あとは条件より「xy平面上ってことはz成分が0」といった簡単な処理で解ける。

小樽商科大学の大問1(1)に類題があったため、貼っておく。

類題 → 「68話 2020小樽商科大学 過去問大問1【解答解説】

(2)媒介変数の文字消去

(1)でX,Yをそれぞれθで媒介変数表示したため、そこから媒介変数を消去してXとYの関係式を作る。

三角関数比での式変形は「2乗を作りたい」と考えるようにしよう。

根拠としてはsin2θ+cos2θ=1など三角比の相互関係を利用したいというところにある。

(3)2次曲線のグラフ

(2)よりxとyの関係式が得られたため、図がかけるように式変形をしていく。

そこでの発想としては

  • XとYの変域知りたい
  • 「Y=」の形にしたい

というところだ。

今回はxの次数が2、yの次数が2で同符号で係数が1以外というところから、楕円が確定している。

あとは式変形を丁寧にしていく。

また、xとyの変域は媒介変数の0≦θ≦πからアプローチしていく。

最初にxの変域が求まり、その流れでyの変域を求めていく。

その際、(2)ではy2とx2の関係式であるからy=±√(xの式)という形になってしまう。

そのため、yの正負の評価から始める。

yが正であることが分かった後は、y=√(xの式)としてyの変域を求めていけばよい。

あとは楕円とx,yの変域という得られた情報から図示をしていく。

(4)回転体の体積

(3)まででグラフもかけているため、回転体の体積の公式(考え方)にて求める。

計算ミスにだけ注意したい。

大問2概評

因数分解と不等式の基本的な知識があれば解くことができる。

おそらく大問3つの中で完答率が高いのは大問2ではないだろうか。

特別な発想は必要ではなく、自分が分かっている条件と自分が知っている基礎知識を使い得る形にしていきたいというのが重要。

大問2は小問3つで構成されている。

各問はバラバラとはいえ、明らかに(3)は(1),(2)と誘導になっているためそこは気付くようにしたい。

条件をどこで使うのか、どうしたら使えることができるのかを考えて解いてこう。

解答・解説 → 「81話 2020 富山大学 過去問大問2【解答解説】

(1)不等式の証明(因数分解)

特に条件はなくa,b,cは実数であるというところから「2乗や絶対値を作りたい」と考えよう。

実はこの問題のような分母分子2倍するというのはよくある式変形なので知っておこう。

2乗が作れれば証明され、等号成立は各2乗が全て0になるときだ。

(2)不等式の証明(因数分解)

「A≧B」の不等号証明は「A-B≧0」を示すことで示される。

今回分母を払うために両辺(a+b+c)(a4+b+c)倍するが、その際に各因数の正負のチェックをする。

今回は条件より各因数の正が言えて、不等号の向きが変わらない。

あとは式変形をしていく。

あとは正を示すために多項式の状態で大小比較は難しいため、因数分解をして積の形で考える。

等号成立は各因数が0のとき。

(3)不等式の証明

明らかに(2)を利用して示すため、条件を確認しながら(2)を利用する。

あとは分数の和と差のため通分はする。

等号成立は(1)と(2)を満たすとき。

大問3概評

完答を目指すとなると大問3つの中では最も鬼門になるであろうというのがこの問題。

その根拠は積分を含む方程式という単元と(4)の解法の発想にある。

(3)で苦しむ受験生が多いかと思うが、それまでの式変形と比べてそこまで特別な知識は必要でない。

(1),(2)の流れのまま解いていこう。

とりあえず(4)の(ア)までは比較的正答しやすそうなのでそこまで頑張りたい。

(4)の(イ)はx>0や(4)のx>1という条件がうまく働いている。

これまでの流れでf(x2)やf(1/x)については十分に考えているため、そこに絡めていくように考えたい。

分からなければf(x)=xとしてf(x2)やf(1/x)をx>0で考えてみるとよいかもしれない。

小問からの流れを含めて発想が思い付くことが重要だ。

大問3は小問4つで構成されている。

やれる計算を着実に行いながら誘導を意識していこう。

解答・解説 → 「82話 2020 富山大学 過去問大問3【解答解説】

(1)定積分を含む関数

ここはこの大問の中でも基本問題。

積分区間が関数となっているため、微分する際には積の微分&合成関数の微分となる。

方針が決まって使う知識が分かったら地道に計算していくのみ。

(2)定積分を含む関数

使う知識含め(1)と全く同様。

(3)定積分を含む関数

よく分からない形は知っている形に持っていく。

(2)の流れから(2)と比較しながら変数部分がよく分からない形になっていることに注目し、置換を考える。

置換後は(1),(2)と同じ計算方法。

(4)不等式の証明・方程式の解

(ア)不等式の証明

条件が与えられているため、どうなっているか具体化してみる。

とりあえずの目標は「f(1/x)を消去してf(x2)の不等式を作る」として、式変形をしていく。

2つの不等式を得られたとき、

  • 和や差の2式 → 2式の加減(文字消去)
  • 積や商の2式 → 掛け算結果の正負の利用(場合分け)

という思考は持っておきたい。

(イ)方程式の解

今までの流れを踏まえて証明していく。

まず直近に証明した(ア)の結果は扱うかもしれないと考え、何か手掛かりがないか考える。

すると、x>1での話が展開されていることを考え、f(x2)からf(x)を作ることを考える。

その際にx>1の条件が増減の助けとなる。

仮定のおかげもあり不等式がf(x)でも成立していることに気付き、立式ができる。

次に、0<x<1の範囲をどうしようかと悩むわけだが、今の流れやこれまでの流れ(扱える不等式)に目を向けるとf(1/x)でも同じ操作をしたらよいという思いに至り立式ができる。

あとは中間値の定理のようなイメージで、x=1でy=f(x)とx軸とが交点を持つことが分かる。

実際の証明は連続関数であることからx=1への右方極限と左方極限が一致することで示せる。

他に交点がないかという点に関しては、x>1で常にf(x)>0が成り立つためx=1のみが解であることが分かる。

さいごに

公式の模範解答はこちら

https://www.u-toyama.ac.jp/wp/wp-content/uploads/r03_A-06.pdf

参考URL:国立大学法人富山大学HP 過去問ページより 2020年度 前期日程 解答

全体的に難易度はGMARCH志望人にとってはいい練習になるという感じだろうか。

一見難しい問題も、誘導のような手順を踏んで示せるような面白みがある。

一つ一つ誘導や流れを意識しながら解いていこう。

その他過去問を解く人はこちらから → 『特集 過去問振り返り まとめ

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